乳癌と化学療法(抗がん剤)について

化学療法(抗がん剤)を使って、がん細胞の増殖を抑制したり死滅させる治療法です。
乳癌の初期治療では、臨床試験によって高い効果が期待できる抗がん剤の組合せ・投与量・投与期間が確認されており、標準治療として推奨されています。

代表的な化学療法の種類と薬剤
記号 抗がん剤 投与法 期間
CMF シクロホスファミド 内服 4週ごと×6サイクル
メトトレキサート 静脈注射
フルオロウラシル 静脈注射
AC ドキソルビシン 静脈注射 3週ごと×4サイクル
シクロホスファミド 静脈注射
CAFまたはFAC フルオロウラシル 静脈注射 3週ごと×6サイクル
ドキソルビシン 静脈注射
シクロホスファミド 静脈注射
CAF(内服) シクロホスファミド 内服 4週ごと×6サイクル
ドキソルビシン 静脈注射
フルオロウラシル 静脈注射
EC エピルビシン 静脈注射 3週ごと×4サイクル
シクロホスファミド 静脈注射
FEC フルオロウラシル 静脈注射 3週ごと×6サイクル
エピルビシン 静脈注射
シクロホスファミド 静脈注射
CEF(内服) シクロホスファミド 内服 4週ごと×6サイクル
エピルビシン 静脈注射
フルオロウラシル 静脈注射
TC ドセタキセル 静脈注射 3週ごと×4サイクル
シクロホスファミド 静脈注射
3週ごとドセタキセル 静脈注射 3週ごと×4サイクル
3週ごとパクリタキセル 静脈注射 3週ごと×4サイクル
毎週パクリタキセル 静脈注射 毎週×12サイクル

※ドキソルビシンまたはエピルビシンを含む治療のあとに行うことが多い

主な副作用

抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞にも影響を与えるため、さまざまな副作用を引き起こします。副作用の現れ方は個人差がありますが、予防法や対処法が進歩したことで、事前の薬物治療などによりコントロールできることも増えてきました。気になる症状がみられたら、主治医や医療スタッフに早めに相談するようにしましょう。

吐き気、嘔吐
治療開始後すぐに現れる場合と、数日たってから現れる場合があります。抗がん剤の前に吐き気止めの薬を用いることで予防が可能です。
脱毛
ほとんどの抗がん剤で起こります。治療開始から2~3週間後に髪が抜け始めます。眉毛やまつ毛、体毛が抜けることもあります。治療が終了すればすぐに生えてきますので、それまでの間はかつら(ウィッグ)や帽子、バンダナなどでカバーします。
白血球の減少(骨髄抑制)
抗がん剤の使用後1週間目くらいから血液中の白血球が減少します。減少している時期に38℃以上の熱が出ることがありますが、多くの場合、事前に抗菌薬を処方してもらうことで対応できます。白血球を増やす薬(G-CSF)を用いることもあります。
倦怠感(だるい、疲れやすい)
体のだるさは抗がん剤投与後2~3日で生じることが多いようです。個人差はありますが、数週間続くこともあります。ほとんどの場合、投与が終われば自然に回復します。
その他
神経への影響(手足のしびれ、ぴりぴり感など)、手足症候群(手のひらや足の裏の刺すような痛み、はれ、発疹など)、下痢血管炎(血管の炎症による痛み、はれなど)、爪の異常(爪が黒くなったり割れやすくなる)、味覚障害(苦みを強く感じる、味に敏感になる、味覚に鈍感になる)など。
副作用が出現しやすい時期
参考:山本昇:「抗悪性腫瘍薬ハンドブック」(西條長広編:中外医学社)
出現しやすい時期 副作用の種類
当日(点滴中) アレルギー反応、アナフィラキシー、血管痛、めまい、発熱、悪心・嘔吐(急性) など
2~3日 倦怠感、食欲不振、発疹、悪心・嘔吐(遅延性) など
7~14日 口内炎、下痢、食欲不振、感染が起こりやすくなる(発熱)、貧血 など
2~3週間 感染が起こりやすくなる(発熱)、脱毛、色素沈着、味覚障害、手足のしびれ など
数ヵ月後 肺線維症、心臓障害 など