乳癌を発症した人の5~10%は、遺伝的に乳癌を発症しやすい体質であると考えられています。そして、遺伝性乳癌の多くは、生まれつきBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に変異があることが知られています。BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異があると、これらの遺伝子に基づいて体内で合成されるBRCA1やBRCA2と呼ばれるタンパク質が正常に機能せず、細胞の癌化を引き起こしやすくなります。
BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異がある場合でも、100%必ず癌を発症するというわけではありません。BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異をもつ人が生涯で乳癌にかかる可能性は65~74%とされています。また、卵巣癌の発症とも関係があることがわかっており、BRCA1遺伝子に変異がある場合は生涯で卵巣癌にかかる可能性は39~46%、BRCA2遺伝子に変異がある場合は12~20%とされています。なお、男性でこれらの遺伝子に変異がある場合、もともと男性ではめったに乳癌にかからないものの、遺伝子変異のない男性よりも乳癌の可能性が高くなると考えられています。
親のどちらかがBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異がある場合、お子さんにも遺伝子変異が受け継がれる確率は、男女関係なく50%です。つまり、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子の変異は子ども全員に受け継がれるわけではなく、同じ家系の中でも変異がある人とない人がいることになります。
