乳癌の診断 - 確定診断から治療までの流れを知る

診断確定から治療までの流れ

確定診断後の検査

がんの広がりを調べる画像検査

MRI、CT、超音波、骨シンチグラフィ など

▼ 確認
  • しこりの大きさ、位置、侵潤の程度
  • わきの下や鎖骨周囲のリンパ節への転移状況
  • 他の臓器への転移の状況

臨床病期(ステージ)を診断

← 生検組織を用いた病理検査でがん細胞の性格を確認
治療方針を立てる

乳癌と診断されたら、MRIやCT、超音波などの画像検査を行って、しこりの大きさやがんの広がり具合、進行の程度などを調べます。

これらの結果から「乳癌の臨床病期(ステージ)」を診断し、生検時に採取したがん細胞の性質や状態を確認したうえで、治療計画を立てていきます。

診断確定のための方法

がんの広がり具合を調べるための「画像検査」

乳房MRI(磁気共鳴装置)

強い磁力を発生するMRI装置を用いて、病巣を画像化し診断する方法です。
さまざまな角度から画像を撮影することができるため、乳房内でのがんの広がりの程度を調べるのに適しています。特に、乳房温存療法で、切除範囲を決めるときなどに欠かせない検査といえます。

CT(コンピューター断層撮影)

コンピューターを用いた特殊なX線断層装置で、からだの断面を映し出す方法です。撮影する範囲が広いので、肺や肝臓、脳など、他の臓器への遠隔転移をみつけるのに有効です。

骨シンチグラフィ

乳癌の骨への転移を調べるための検査です。放射性物質(アイソトープ)を注射し、転移のある骨にアイソトープが集まる性質を利用して、転移の有無を確認します。
骨への転移の可能性が高いと判断された場合に行うことが多く、早期の乳癌には行わないことがあります。

がんの広がり具合を評価するための「病期(ステージ)診断」

診断後は、MRIやCTなどの画像検査の結果に基づいて、がんの広がり具合を評価します。これを病期(ステージ)診断といいます。
乳癌の病期は、「しこりの大きさ」、「リンパ節転移の有無」、「遠隔転移の状況」によって大きく5段階に分類されています。
病期診断は、現在の状況を把握するのと同時に、手術の種類や治療の経過を予測する重要な指標となります。

乳がんの臨床病期(ステージ)分類

乳癌取扱い規約 2008年【第16版】をもとに作表
病期0(ステージ0) がん細胞が発生した乳腺の中にとどまっている(非浸潤がん、パジェット病)
病期I(ステージ1) しこり 2cm以下 わきの下のリンパ節に転移がない
病期II(ステージ2) A しこり 2cm以下 わきの下のリンパ節に転移がある
しこり 2.1~5cm リンパ節に転移がない
B しこり 2.1~5cm わきの下のリンパ節に転移がある
しこり 5.1cm以上 リンパ節に転移がない
病期III(ステージ3) A しこり 5.1cm以上 わきの下のリンパ節に転移がある
しこりの大きさ問わず わきの下のリンパ節の転移が強い、またはわきの下のリンパ節転移を認めず、胸骨傍リンパ節に転移がある
B 皮膚や胸壁に浸潤のあるもの
C 鎖骨下リンパ節や鎖骨上リンパ節に転移がひろがっているもの
病期IV(ステージ4) 乳房から離れたところに転移しているもの
  • 病期診断は、手術前に確定できるのが理想ですが、術前の画像検査などですべてを確認できないことがあります。その場合は、手術時の状態をもとに病期を確定します。

がんの性質や状態を確認するための「病理検査」

がんの広がりを評価するとともに、治療方針をたてるうえで欠かせないのが、がんの性質(生物学的性質)を調べるための病理検査です。
生検や手術時に採取したがん細胞を詳しく調べ、個々のがんの性質を確認します。

乳癌にはさまざまなタイプがあり、治療に対する反応性も異なります。不要な治療を避け、有効性の高い治療を選択するためには、病理検査による詳細な情報が欠かせません。

最近では、個々の患者さんの病態と腫瘍の生物学的特性を評価したサブタイプ分類(病型分類)に基づいて、薬物療法の内容を選択したり、再発リスクの評価などを行うようになっています。

乳がんのサブタイプ(病型)分類

サブタイプ 生物学的特性
ホルモン受容体 HER2 増殖マーカー(Ki-67)
ルミナールA 陽性 陰性 低値
ルミナールB
(HER2 陰性)
陽性 陰性 高値
ルミナールB
(HER2 陽性)
陽性 陽性
HER2 陽性 陰性 陽性
トリプルネガティブ
(基底細胞型)
陰性 陰性
特殊型 陽性 篩状癌、管状癌、粘液癌
陰性 アポクリン癌、髄様癌、腺様嚢胞癌、化生癌
  • サブタイプ別に推奨される薬物療法については治療編をご覧ください。