乳癌体験談

Case4:セカンドオピニオンを受けた御舩美絵さんの場合

最終更新日 2017年9月4日

主治医との関係性の悪化を心配しがちなセカンドオピニオン。セカンドオピニオン経験者の御舩美絵さんに、後悔しない治療選択をするために必要な第二の意見との向き合い方を伺いました。

年齢:31歳(乳癌と診断された時)
乳癌のステージ:術前の検査ではステージⅡA期、術後ステージI期に変更
しこりの大きさ:7cm(浸潤部分は1.4cm)
術式:乳房切除術(全摘出)
術後の治療:ホルモン療法

結婚式2週間前の乳癌宣告。結婚は、出産は!? 思い描いた未来が一変

写真:御舩美絵さん

私と乳癌の関わりは、左胸に自分でしこりを見つけ、クリニックで検査を受けたことが始まりでした。そのときは、「しこりは乳腺症によるもので、出産したらなくなり、癌に変わるものではない」と言われ一安心。しかし、その後もしこりが消えることはなく、痛みを伴いむしろ大きくなっていくのを感じていました。最初の検査から1年4ヵ月後、結婚が決まり再度検査を受けようと同じクリニックを訪れたところ、超音波検査で私が見ても明らかにおかしいとわかる黒い塊が写っていました。

「悪いものが見つかりました」。「つまり、乳癌ということですか?」。医師とそんなやりとりをしながら、今回も乳腺症だろうと思っていた私は、目の前が真っ暗に。結婚式は2週間後、もう結婚は無理かもしれない。何より心配だったのは、「子どもを授かれるか」ということです。そのときの私は31歳。20代は仕事に邁進し、次の30代は家族を築き新しいライフステージへ歩き出そうと思っていた矢先。子どもがいる明るい未来しか思い描いていなかったので、乳癌宣告は衝撃でした。

セカンドオピニオンは、自分にとってベストな治療法を選ぶプロセス

主治医には、もちろん出産の意思を伝えました。提案された治療法は、乳房の全摘出と5年間のホルモン療法。病理結果次第で抗がん剤治療を行い、その場合の閉経リスクは30~70%と言われました。

子どもを授かる可能性、乳房、もちろん命も。私は失いたくないものだらけでした。大切なものをすべて失わずに済む治療法を探して、セカンドオピニオンを受けることにしました。決してファーストオピニオン(主治医の意見)に不信感があったわけではなく、他の専門医の意見を聞いたうえで、私にとってベストな治療法を選びたいと思ったんです。セカンドオピニオンは患者の権利であり、最善の治療法を選択するために必要なプロセス。頭ではわかっていても、親身な主治医を前にすると言い出すのは気が引けるものです。心苦しく思っていたとき、主治医からセカンドオピニオンを勧められ気持ちが楽になりました。

複数の意見を聞きたいと思い4人の専門医を訪ねたところ、全摘出をして乳房再建する方法、術前化学療法でしこりを小さくして乳房の温存を目指す方法を提案していただきました。受診する際は、限られた診察時間で聞き洩らしがないよう、質問を書き留めたノートを持参。受診後は、医師の意見をメリットとデメリットに分けてノートに書き出していました。書くことで頭の中を整理し、自分にとっての最優先事項を明確にするためです。

セカンドオピニオンを受けて、すべてを失わずに済む治療法がないとわかったとき、私が一番優先したいことは何だろうと自問しました。それは子どもを授かることだと再確認し、主治医と相談し、妊娠の可能性を少しでも多く残せる方法として全摘出とホルモン療法を選択。抗がん剤は病理の結果次第、そして同時再建を行うことを決めました。

目的や疑問点を明確にしたうえでセカンドオピニオンへ

セカンドオピニオンは、自分が納得して治療を選択するための手段で、患者側が遠慮する必要はありません。やみくもに意見を聞くのではなく、ファーストオピニオンをしっかり理解し、疑問点や自分が探している可能性を明確にしてから行うと有意義なものになると思います。また、ガイドラインを一読して、標準治療をはじめ病気の基礎知識を知っておくこともベストな選択に役立つはず。

セカンドオピニオンの病院探しは、症例数が多い病院をネットで調べたり、ライター業をしているため取材した医師のいる病院にアプローチしたりしました。がん診療連携拠点病院の場合、併設の相談支援センターに行けば相談員が病院探しを手伝ってくれます。また、主治医にセカンドオピニオンを切り出しにくいときも、相談員や看護師を介して伝えてもらえるので、困ったときは周りに助けを求めて一人で抱え込まないように。

術後7年、今幸せであることが「正解」の答え

主治医の提案で、術後抗がん剤の有効性を調べるオンコタイプDXという遺伝子検査を行いました。聞き慣れない検査名と、保険適用外につき約50万円という費用に戸惑いながらも遺伝子検査を受けることに。その結果、抗がん剤の上乗せ効果はなしと出て、抗がん剤治療を行わない選択をしました。

乳癌を宣告されて以来、様々な選択を迫られてきました。できる限り行動を起こし、納得して治療を選択できたことはよかったと思います。ただこれだけ力を尽くしても、術後は自分で選んだ治療法が本当に正解なのか不安に思うこともしばしば。治療の「正解」を決めるのは難しいものです。正解は、今幸せかどうかで決まるのではないでしょうか。手術から7年、私は幸せです。だから様々な選択は間違っていなかったんだと思います。

写真:御舩美絵さん

体験者:御舩美絵さん

31歳で乳癌を宣告され、妊よう性と向き合いながら治療法を模索し左胸を全摘出し、ホルモン療法を行う。若年性乳がんサポートコミュニティPink Ring代表、乳がん体験者コーディネーター(BEC)。Pink Ringの活動として、2017年9月~2018年3月まで「若年性乳がん体験者のおしゃべり会 全国キャラバン」、2017年11月には「AYA Cancer Summit 2017」を開催。詳細はPink RingのHPを確認。

■若年性乳がんサポートコミュニティPink Ring
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