乳癌体験談

Case3:人間ドックで石灰化を指摘された友部さんの場合

最終更新日 2017年8月10日

乳癌のサインとなる悪性の「石灰化」。人間ドックのマンモグラフィで石灰化を指摘された友部美波子さんに、診断時の様子と治療までの道のりを振り返っていただきました。

年齢:48歳(乳癌と診断された時)
職業:会社員(製薬会社勤務)
乳癌のステージ:ステージ0期
しこりの大きさ:2cm
術式:乳房温存手術
術後の治療:放射線療法

疑問点は医師に納得するまで質問し、そのつど解決を

写真:友部美波子さん

毎年人間ドックを欠かさず、マンモグラフィと超音波(エコー)を交互に受けていました。48歳でマンモグラフィを行った際、初めて「要精密検査」の通知が届いたんです。精密検査の前に再度マンモグラフィを行ったところ「左胸に疑わしい石灰化がある」と診断され、画像には砂のような白い粒が、スプレーを吹きつけたように線状に写っていました。

私は製薬会社に在職し様々な医療情報を扱うため、「石灰化」という言葉や、乳癌の初期段階で石灰化が伴うケースがあることは認識していました。知らなかったのは、どういう形状で描出されるのかや、石灰化に良性と悪性があること。別の場所にもポツン、ポツンと白い点があったので医師に質問してみると、「かたまりではなく、単体で現れる石灰化はおそらく問題がない」と言われ、初めて癌に関係のある石灰化と、そうでない良性の石灰化があることを知りました。さらに、「どうして石灰化が起こるのか」「昨年異常がなくても、急に出現するのか」など疑問に。医師に尋ねると、「石灰化はカルシウムの沈着によるものです。マンモグラフィは、しこりだけでなく石灰化を見つけられるのが特徴で、昨年の超音波検査では写らなかった可能性がある」と説明していただきました。

石灰化と言われても、多くの人は乳癌との関係がわからないはず。疑わしい石灰化を指摘された時は、「石灰化とは何か」「どのようなリスクがあるか」「なぜ精密検査が必要なのか」など、医師にその場で説明を求めることが必要だと思います。

私は大丈夫という過信が一転、突然乳癌が自分事に

良性とは明らかに違う、顔つきの悪い石灰化があると聞いた時点で、私は確定診断を待たずして乳癌の可能性は極めて高いだろうなと予測していました。乳癌の家族歴はないし、毎年人間ドックを受けてこれだけ自己管理をしていたのに……。心のどこかで私は大丈夫と思っていたので、突然乳癌が自分の身にふりかかり、ショックでしたね。

マンモトーム生検の予約は中々取れず、3ヵ月待ちに。検査を持つ間が、一番憂鬱でした。この先乳癌を宣告されるかと思うと、事あるごとに不安がよぎり、何をしても楽しめません。生検を持つ間に進行したらどうしよう、会社と家族にどのタイミングで伝えるべきかなど、様々なことが頭の中を駆け巡りました。高齢の両親を思うと、病気になって心配をかける私は親不孝者だと思ったり。一方で闘病生活を乗り切る体力をつけようとジムに通い始めました。自宅と会社の近くにある2軒のジムに頻繁に通い、今思うとじっとしていられなかったのだと思います。

後悔しない治療法を選ぶため、必要な知識を積極的に収集

マンモトーム生検の結果は、案の定というかやっぱり乳癌でした。ステージ0の非浸潤癌です。手術までの間に、自分の病状をきちんと把握したくて「乳癌 石灰化」で検索したり、論文を読んだりして情報収集をしました。ネット上で見つけた情報の多くは、客観性に欠け納得できる内容は少なかったです。今の私なら日本乳癌学会のHPをチェックすると思いますが、当時は気が回らず……。

確定診断後は、治療方針を決めるにあたり様々な決断を迫られます。私は温存手術を選択しましたが、最後まで本当に温存で根治できるのか、全摘出の必要はないのか悩みました。最近は治療法の決定を患者さんに委ねるケースが多く、正しい知識がないとベストな治療は選べません。癌という事実を受け止めるだけでも大変ですが、不安や迷いを少しでも減らし、後悔しないためにも情報収集は大切。だから、遠慮なく医師に質問し、わからないことは理解できるまで繰り返し聞いてみるべきです。術式一つにしても、温存手術、全摘出、化学療法を行ったうえでの手術など、選択肢があります。医師にすべての選択肢とそのメリット、デメリットを提示してもらったうえで、予後や自分の価値観と照らし合わせて最善の治療を選ぶべきだと思います。

よりアクティブに、女性らしく、治療後の人生を謳歌

術後は放射線療法を行い、病院が会社から近いため出勤前や昼休みに照射していました。放射線療法中は皮膚炎が悪化し、ステロイドと保湿剤を使用。強い倦怠感にも見舞われ、治療後一週間は特に辛く、せっかくのお正月休みにずっと寝込んでいたことを覚えています。一方でメンタルは前向きでした。手術前に情報を集め、可能な限りの準備を行い、自分にとってベストな治療を選べたからだと思います。

今年で乳癌宣告から5年目になります。人生はいつ何が起こるかわからないと実感したから、やりたいことは後回しにせずすぐやる派に。興味があることに積極的にトライして楽しんでいます。また、以前は乳房を失えば女性でなくなると思っていましたが、手術後の方が女性らしくいたいという思いが強くなりました。乳癌治療は、手術や薬物療法で外見が変化する場合がありますが、たとえ外見が変わっても内面の女性らしさを大切にしたいです。

写真:友部美波子さん

体験者:友部美波子さん

薬剤師を経て、製薬会社に勤務し乳癌治療薬の開発にも携わる。人間ドックで石灰化の発見を機にステージ0の乳癌と診断され、左胸の温存手術後、放射線療法を行う。また入院中、ボランティアで患者支援を行う乳癌体験者に出会い、心が救われた経験から、乳がん体験者コーディネーター(BEC)の資格を取得し、自身も患者支援活動を計画中。