乳癌体験談

Case2:自己検診で8mmのしこりを見つけたN.Yさんの場合

最終更新日 2017年8月3日

乳癌は、自分で発見できる数少ない癌の一つ。自己検診(セルフチェック)でしこりを見つけた女性に、早期発見に至った経緯と、日頃から乳房に関心を持つ大切さを語っていただきました。

年齢:39歳(乳癌と診断された時)
乳癌と診断されたときの状況:既婚、不妊治療を始めようとしていた
乳癌のステージ:ステージI期
しこりの大きさ:8mm
術式:乳房温存手術
術後の治療:不妊治療のためホルモン療法は行わず、放射線療法のみ実施

発症率の高い乳房の外側上部、指に触れた小さなしこり

写真:N.Yさん

40歳を前に不妊治療を始めるにあたり、子宮頸癌検診と併せて、今まで一度も受診していなかった乳癌検診に行こうと思いました。祖母が30代で乳癌を宣告されたので、自分も気をつけなくてはと思いながら、見つかったら怖いという気持ちから乳癌検診は後回しに。健康不安のない状態で不妊治療に専念したいと思ったのが、受診を思い立ったきっかけです。

予約を入れる前に、自分でもチェックしておこうかな。そのぐらいの気持ちで、お風呂で初めて自己検診(セルフチェック)を行いました。乳房に石けんをつけて、指の腹で「の」の字を書くようにくるくると。癌保険の加入などでお世話になっていたファイナンシャルプランナーの方に、乳癌は乳房の外側上部が最も発症が率高いと教えられたことを思い出し、その部分を入念に触ってみたんです。右胸の外側上部に指が触れた時、コリコリとしたゴマ粒大のしこりがあり、「アレッ、何だろう」って。右腕を下げた状態だとわかりにくく、腕を上げて触ってみるとやっぱりあるんです。

「生理前の変化かも。癌のはずはない」という否定感と、「でも祖母も乳癌だったし」という不安を抱えながら夫に相談しました。念のため乳腺外科に行くように言われ、夫が勧めてくれた専門医がいる県内の病院を予約。この時私は、乳腺外科という専門外来があることも知りませんでした。夫が仕事で乳癌の検診啓発に関わっていて知識があったことが幸いし、異変を放置せずまた病院選びに迷わず、すぐに行動に移せたことも早期発見につながったと思います。

医師も驚いた、自己検診によるわずか8mmのしこり発見

当時は著名人の乳癌罹患のニュースが話題で、関心の高まりから乳腺外科は大混雑。自覚症状があっても予約が取れたのは2ヵ月先でした。検査の日はマンモグラフィ、超音波(エコー)、マンモトーム生検を行い、本当に小さなしこりだったので、検査技師にしこりの位置や指で感じた大きさを正確に伝え、自分なりに必死だったと思います。

診断結果はステージⅠの乳癌。不妊治療を始めようと思った矢先に乳癌宣告なんて……。しかも、宣告された日はクリスマス。私の人生は何なんだろうと悲しみと苛立ちが交差し、体中から涙が溢れるように泣きじゃくったのを覚えています。ゴマ粒大と感じたしこりの大きさは8mm。医師に「こんなに微小なしこりを、よくぞ自分で見つけましたね」と感心されるぐらい小さいしこりでした。

身を持って感じた自己検診(セルフチェック)と定期検診の必要性を、身近な人にシェア

私は39歳で乳癌になりましたが、同年代の友人に乳癌体験者はいません。友人の多くは、乳癌を公表する著名人を見ても、テレビの向こう側で起こっている他人事と思っていたようです。身近にいる乳癌体験者が話をすれば、自分事として捉えるきっかけになるはずと思い、最近は友人たちに月に一度の自己検診と、医療機関での定期検診を積極的に勧めています。また、「乳癌は年齢が若くても罹患すること」「良性の場合もあるけれど、しこりに気づいたらなるべく早く乳腺の専門医を受診して」と伝え、“一人ピンクリボン運動”を継続中。私の話を聞いて検診に行った友人もいるので、地道でもいいから経験者の私だからできる啓発活動をこれからも行っていきたいです。

宣告時は悲しみに暮れましたが、今は早期発見できてよかったと心から思います。「もっと早く気づいていれば」と後悔しないためにも、健康なうちから自分の乳房に関心を持つことはとても大切です。

自分の意思でホルモン療法を行わず、不妊治療を選択

治療は、乳房温存手術後に放射線療法を行い、現在は4ヵ月に一度超音波検査を受けています。私の癌はホルモン受容体陽性だったので、本来であれば放射線療法後にホルモン療法が必要です。でも、不妊治療の意思があることを主治医に伝え、ホルモン療法は選択していません。主治医はその選択に対し、賛成も反対もせず「あなたが望むならいいでしょう」という回答でした。現在行っているエストロゲンとプロゲステロンを増やす不妊治療は、女性ホルモンの分泌を抑える乳癌のホルモン療法とは真逆の治療であるため、時々再発の不安がよぎります。でも、今は子どもを産みたい思いの方が強く、自分で期限を決めて授かるための治療を行っていくつもりです。

ホルモン受容体陽性の乳癌なのに、しこりに気づかず女性ホルモンを増やす不妊治療を始めていたらどうなっていただろう……。そう思うと怖いですね。あの時自己検診をして本当によかったです。

写真:N.Yさん

体験者:N.Yさん

39歳で自己検診をきっかけにステージⅠの乳癌を発見。右胸の温存手術後、放射線療法を行う。自分の体験をもとに身近な人に自己検診や定期検診の必要性を伝え、健康なうちから自分の体と向き合う大切さを伝えている。